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人間の自己修復能力

STAP細胞やiPS細胞により人間の細胞の初期化、初期化から血液、骨、心筋、神経などに分化させる方法による再生医療が大きく取り上げられている。これらは遺伝子を加え、あるいは刺激を加えることにより人工的に人間の細胞を初期化させて血液、骨、心筋、神経などを作り出すものであるが、人間の体内には自然に備わった自己修復能力があり、これを有効に活用することに注目が集まっている。

植物は自己修復能力により木を切って挿し木をすると木の根が張って大きな木になる。動物でもトカゲの尻尾が切れても自己修復能力により尻尾が再生される。これらのことは昔から知られているが、人間は別で患部を探して特定し、その個所に対応する治療をすることが必要とされ、自己修復能力は小さな傷の修復程度しかないと考えられていた。しかしながら、人間の自己修復能力はもっと大きなものではないかとの研究が進んでいる。

その一つが脂肪組織由来幹細胞でASC( adipose-derived stem cells )と呼ばれるもので、骨髄より取り出された幹細胞より容易に取得でき、量的にも多く、酵素活性が高い。このASCを皮下脂肪より吸引し、分離し培養して患部に注入すると脂肪、血管、骨、軟骨、骨格筋、心筋、神経、肝細胞などに分化して元々ある細胞と一体化して患部を修復する。体内に自然に存在する為に拒絶反応が無く、人工的に作るものと異なりガン化の心配もない。また、ASCを患部に注入しなくても血液に注入すると自然に患部にASCが集まり、サイトカインやエクソソームを出して患部を自己修復することもマウスの実験で確認されている。ASCが出すエクソソームによりアルツハイマーの原因になるアミロイドβを分解して進行を止めることも出来る。

人間の自己修復能力は運動にもあり、運動により体に負荷を与えると防御反応から脳内にエンドルフィンが分泌されストレス解消、うつ病の改善になり、ニューロン、シナプスの増加によりアルツハイマー症の改善や痴ほう症の予防が出来、運動中に血流が増加し改善されて運動後の高血圧の改善、善玉コレステロールの増加による動脈硬化の改善、骨の強化による骨粗しょう症予防、血糖値の低下による動脈硬化改善が出来る。血液中に成長ホルモンが出て体全体の中から筋力強化を必要とする箇所を探し出してその個所に多くの筋肉を作り出す。

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