日本の財政と我々の生活
金融庁より年金だけでは老後の生活は安心出来ない、2000万円は金融資産が必要とのことから様々な議論が出ているが、日本の財政の実体はもっと大きく毀損していると思われる。
政府が借金を重ねると、その結果は我々個人が借金を重ねるのと同じで、すべての財産を売却して一括返済をするか、更に借金を重ねて倒産するかになる。個人が財産を売却して一括返済すると同様なのが政府の預金封鎖・新円切替・財産税による政府収入増での財政均衡であり、個人が信用を無くして倒産すると同様なのがハイパーインフレ、円・国債の暴落になる。
日本の国債発行残高がGDPの2.4倍以上になり、一般会計における国債費支払比率は23.8%(2018年)、経済成長による税収増加で将来均衡するということは出来そうにない。戦争直後で現在の様に国債発行残高がGDPの2.0倍以上になった際に行われた、@政府の対策を振り返り、Aその後の状況変化、B政府が何もせずに現在の政策を続けた場合どうなるのか、C我々はどう備えれば良いのかを検討する。
@ 戦争直後の政府の対策
預金封鎖: 個人所有のお金は銀行に預金することが強制され、銀行からの引き出し可能金額は新円で1ヶ月あたり世帯主は300円、その他一人100円に限定された。
新円発行: 新円が発行され、旧円は使用出来なくなった(旧円は紙くずになった)。
財産税: 昭和21年3月3日時点において国内に在住した個人を対象に、通常生活に必要な家具等を除く個人資産(預貯金、株式などの金融資産及び宅地、家屋などの不動産)に対して1回限りの特別課税(税率は課税価額に応じて累進課税税率25%−90%)。(mof.go.jpより)
A その後の日本の状況変化
マイナンバー制度: 今後は医療、保険、銀行など多くの分野で使用が奨励され、政府は名寄せにより国民の資産状況が一括把握可能になる。
キャッシュレス社会: デジタルデータの集計により、お金の動きが把握容易となり、タンス預金による資産隠し、脱税などが出来にくくなる。
2024年に新紙幣の発行: 現在は新紙幣発行後も旧紙幣は使用可能である為に実損にはならないが、旧紙幣は段々使われなくなり、タンス預金なども市中に出てくる。緊急事態になれば旧紙幣の使用禁止も可能になる。
B 現在の政策を継続して根本的な対策を取らなかった場合
国債の暴落: 実際に大手銀行の中では国債の購入を控えている所もあり、買い手が少なくなり、日銀引き受けの比率が毎年大きくなって、ファンドなどから売り攻勢が始まり国債の暴落が始まる。
ハイパーインフレ: 政府の歳出が大きくなり、歳入がそれに比例して増加しなければ紙幣の増刷分はインフレになり、その度合いは年々大きくなり、円売りが始まる。
C 我々はどう備えるべきか
預金封鎖対策: 銀行預金から金、外貨、外国債券、海外不動産購入へ振替える。
新円発行対策: 新円発行は、1)単なる新紙幣発行の場合、2)旧紙幣の使用を禁じる場合、3)ハイパーインフレで旧1万円を新1円にするなどデノミに使用する場合など様々な利用方法があるので現金保管はリスクが高い。
財産税対策: 財産税対策として、金、外貨、外国債券、海外不動産の購入は良く使われる方法であるが、財産把握が進んでいるので今後は財産税の対象になる可能性が高い。ちなみにリーマンショック以降、特に米中貿易戦争から百ドル札の世界における流通量が急激に伸びているがこれは中国、香港などの富裕者が自国通貨よりドルに換金している可能性が高い。金価格は2019年6月時点で1300ドル前後、1000ドルになると中国、ロシアより買いが入ると言われているので現在は高めで推移しているが、今後の国際情勢如何により急騰する可能性もある。財産税対策の一つの方法としては借金を大幅に増やして資産全体を落とすことなどが考えられる。または、中古不動産、中古自動車、中古機械などの中古資産の購入が考えられる。これらは簿価では償却が終わって0円、または低評価になっているが、実際の利用効果は新品と変わらず、転売した場合に利益が出る可能性がある。
ハイパーインフレ対策: 預金封鎖、財産税などは国民の反発が大きい為にこのままハイパーインフレに移行する可能性が高い。この場合お金から不動産、株、債券などへ投資を切り替えることが基本になる。インフレ時期に借金を増やすと実質的な借金額はインフレに反比例して低下していく。戦後の財政均衡は預金封鎖・新円切替・財産税により行われた部分よりもハイパーインフレで借金額が相対的に減少した部分が多いとの報告もあるので、ハイパーインフレ対策を重視していくことが賢明と思われる。
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