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地裁の廊下(1:簡裁、地裁編)

地裁の廊下(2:地裁、高裁編)- - - 公正、信義誠実を守る判決を求めて- - - ,

“お父さん、うちにはもう弁護士さんを雇うお金がないのよ!”

地裁の廊下にしゃがみこんだ老人に声をかけたのはつれあいの老婦人であった。裁判の結果が良くなかったか、老人は何も言わずに動きもしなかった。

弁護士を雇えない低所得者には「法テラス」により、無料の法律相談援助などの救済処置がとられているが、それ以上の所得者でも日常の苦しい生活の中から弁護士を雇って長期の裁判を戦うことは中々出来ない。

この裁判制度の弱点を狙って、お金の余裕のない人たちに対して、勝てなくても裁判を起こす人々が出てくる。いわゆる「スラップ訴訟」である。(裁判の勝ち負けが問題ではなく、自分の意向に従わない人たちを被告にして裁判で嫌がらせをする)、また、「訴訟詐欺」(公的機関である裁判所を利用して詐欺を行う)が出てくる。詳細はネット検索すると様々な例が出てくるので、参照されたい。

最近の傾向として、言論弾圧の為のスラップ訴訟が出て来ていることである。スラップ訴訟自体は抽象的な概念である為に、裁判記録の検索では中々出てこないが、詐欺行為であってもその背景は言論弾圧が目的であることが有る。特にメディア関係者の新聞、TV、雑誌関連諸氏は要注意、また政治評論家、日本の為に直言するタイプの人も狙われる。

「憲法第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と書かれており、「権利や自由は主張し行使しなければ取り消されるのであり、国民自ら政府から防衛しなければならない」とされている。

最近「検察庁法改正案」の審議を自民党が強行した為にネットで大炎上して結局政府が引っ込めた事があったが、その際に芸能人が大きな声を上げたことで批判が出て、芸能人の中には謝る人も出た。芸能人には当然選挙権があり、言論の自由もある。芸能人が政治に口を出したことで謝る行動に追い立てたもの、これが日本の問題である言論弾圧になる。

最近経験したことであるが、工事業者より代金請求を受けたが必要のない工事であることが判明。支払いを拒絶した所、提訴してきたので、簡易裁判所で公開討論を行ったが、その判決が法令違反になる「当事者が主張していないものを、主張している」と強引な理由をつけたもので、敗訴になった。

すぐに東京地裁に控訴、再び公開討論を行い、工事業者の主張する工事が全く不必要なことが立証されたが、その口頭弁論の議事録になる調書を取り付けた所、判決に重大な影響を与える、「工事業者が主張している工事が不要なものとの証拠が提出され、工事業者はこれに対して反論が出来なかった」などの重要な項目が多数欠落していることが判明。調書に関する異議申し立てを行った。

口頭弁論で何が行われたかを証明するものはこの調書しかないので、調書に判決に重大なる影響を与える事実が記載されていないと口頭弁論自体が意味のないものになってしまう。

調書を簡潔に纏めたいとの意向は分かるが、重要事実が欠落したものであれば本末転倒で、裁判に命を懸ける裁判官、弁護士、当事者にとって大問題になる。

現在の裁判制度は裁判官の自由心証主義(裁判官の判断で事実であるかどうかに関係なく判決を出すことが許される)を基本とするものであるが、当然法令違反は許されない。

自由心証主義を利用して、裁判で不必要な工事の事実が判明しても、粘れば誤審により勝訴が可能となることがある。正に「事実は小説よりも奇なり」である。


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